- | アパート(19)
アパートの屋根塗装に掛かる費用や工事の流れを知っておくことで、安心してアパート経営を続けるための考え方を身につけることができます。
外壁塗装コンシェルジュ 建物工事のアドバイザー
アパートの経営では、できるだけ出費を防ぐために、アパートのメンテナンスを見送ってしまうオーナーさんもいるかもしれません。
しかし、あなたの経営するアパートを10年以上メンテナンスしていない場合、アパートの傷みが深刻になっている可能性があります。
「クレームも来てないし」と思って放置し続けてしまうと、どんどん入居者が減ってしまったり、いざ工事をしようとすると、劣化が激しい分だけ工事費用が相場より高くなってしまうことも。
- アパートの屋根塗装が必要な理由
- アパートの屋根塗装に掛かる費用相場
- アパートの屋根塗装の作業工程
これらを私と一緒に見ていければと思うので、あなたのアパート経営が上手くいくための情報となれば嬉しいです。
- 目次
- アパートの屋根塗装は必要なメンテナンスです
- アパート経営で知っておきたい屋根塗装の費用
- アパートの屋根塗装の作業工程
- アパートの屋根塗装で知っておくべきポイント
- アパートの屋根塗装を成功させる秘訣は「優良業者選び」
- 最後に…。
アパートの屋根塗装は必要なメンテナンスです
アパートを経営しているあなたにとって、重要になってくるのがアパートのメンテナンスです。
アパートの屋根は、約10年に一度の目安で塗装工事をする必要があり、定期的な塗装工事でアパートをキレイに保っておくことが大切なんです。
経営アパートとは別のお家であなたが暮らしている場合、経営中のアパートを見たり訪れたりする機会がほとんどないかもしれません。
さらにアパートの屋根部分となると、地上からは見えないところになるので、確認することができない場合が多いです。
しかし、どんな建物でも年月と共に劣化していくものなので、あなたが知らない間にもアパートの屋根はボロボロになっている可能性があります。
「自分が住んでいるわけじゃないし…。」
このように思ってしまうかもしれませんが、これからもアパート経営を上手く続けるために、定期的なメンテナンスが大切なんです。
アパートの屋根塗装が必要な理由を、一緒に見ていきましょう。
理由1:クレームの原因になる
アパートの屋根を長い間メンテナンスせずに放置しておくと、入居者やご近所からのクレームに繋がることがあります。
現在使われている屋根材で最も主流のスレート屋根は、カラーベストやコロニアルとも呼ばれ、セメント製の薄い板で出来ています。
スレート屋根の表面には「塗膜(とまく)」と呼ばれる、塗料で出来た薄い保護膜があり、塗膜が雨や紫外線、カビ・コケなどからアパートを守ってくれているんです。
しかし、長期間塗装をしないままにしておくと、塗膜はボロボロになってひび割れや剥がれが起き、さらに悪化すると塗膜が雨風で剥がれ落ちて、地面に落ちたりお隣さんの敷地内に降ってきてしまうことも。
また、台風や暴風雨での飛来物によって屋根材が割れると、破片が屋根から落ちてくる危険もあります。
そのため、アパートのお隣さんや入居者から、オーナーのあなたがクレームを受けてしまう可能性があるんです。
理由2:アパートの入居率が下がる
アパートを経営する上で、たくさんの人に継続的に入居してもらうことは、オーナーをしているあなたにとっての目標でもありますよね。
しかし、入居者がアパートを選ぶときは外観も大切になり、ボロボロなアパートよりもキレイなアパートの方が魅力的に感じるはずです。
「見えやすい外壁だけメンテナンスしておけば大丈夫かな…。」
このように思って外壁だけ塗装工事をしようと考えるかもしれませんが、外壁だけキレイになると、屋根の汚さや傷みが余計に目立ってしまうことに。
とくに屋根が劣化していると、入居を考えている人も、すでにアパートに住んでいる入居者も、雨漏りが心配になって入居してくれなかったり、引っ越してしまう可能性があるんです。
理由3:雨漏りの原因になる
建物の部位で一番雨漏りの原因になりやすいのは屋根の部分で、長い間メンテナンスをせずに放っておくと、いつ雨漏りが発生するかわかりません。
屋根の「面」部分となる屋根材の割れや剥がれだけではなく、屋根の「辺」部分となる板金がズレたり、板金を止めている釘が浮いてしまうことで、屋根から雨漏りが起きてしまうことが多くあります。
強い雨風に何年もさらされ続けるうちに段々と板金が浮くことで、空いた隙間から雨水が侵入してしまうんです。
雨漏り修理は難しい工事になるので工事が長期化することもあり、雨漏りの度合いによっては入居者の家財にまで被害が及び、クレームや裁判に発展してしまう可能性もあります。
アパート経営で知っておきたい屋根塗装の費用
アパートを経営するあなたにとって、メンテナンスに掛けるお金のことはきちんと考えたいですよね。
アパートの屋根を塗装工事する時の費用相場は、一般的なアパート約60~100坪の場合、約130~170万円となります。※ 高圧洗浄や足場など、塗装以外の作業もすべて含めた金額となります。
しかし、屋根の傷み具合や状況によって塗装工事に掛かるお金は変わるので、あなたの経営アパートを優良業者さんに見てもらって初めて、工事にどれくらい費用が掛かるのかを知ることができます。
下記は、アパートの屋根塗装の見積書の一例です。
60坪のアパートの例
内容 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|
【仮設工事】 | ||||
足場 | 662.5 | ㎡ | 500 | 331,250 |
飛散防止ネット | 662.5 | ㎡ | 150 | 99,375 |
【屋根洗浄】 | ||||
高圧洗浄 | 300 | ㎡ | 120 | 36,000 |
【下地処理】 | ||||
ビニール養生 | 一式 | 15,000 | ||
ケレン・コーキング補修 | 一式 | 5,000 | ||
【屋根塗装工事】 | ||||
縁切り (タスペーサー) | 300 | ㎡ | 150 | 45,000 |
下塗り マイルドシーラーEPOクリヤー (エスケー化研) | 300 | ㎡ | 700 | 210,000 |
中塗り クールタイトSi (エスケー化研) | 300 | ㎡ | 800 | 240,000 |
上塗り クールタイトSi (エスケー化研) | 300 | ㎡ | 800 | 240,000 |
廃材処理費・諸経費・運搬費 | 一式 | 30,000 | ||
小計 | 1,251,625 | |||
消費税 | 100,130 | |||
端数値引き | -1,755 | |||
合計 | 1,350,000 |
アパートの塗装工事は外壁・屋根のセットがオススメ
アパートを経営するあなたに知っておいてほしいのが、外壁塗装と屋根塗装は同じタイミングで行う方がオススメです。
外壁塗装も屋根塗装も、塗装工事には必ず足場を組む必要があり、足場に掛かる費用は、約60~100坪のアパートで約20~30万円も掛かるものです。
塗装工事に掛かる費用の中でもかなりの割合を占めますが、スムーズに工事を進めるのはもちろん、職人さんが安全に作業を進めるためにも必要不可欠な項目なんです。
足場はアパートの周りを囲むように組まれますが、たとえ工事が屋根塗装のみであっても、外壁の周りに組んでいくので、屋根塗装だけでなく外壁塗装もしやすい環境になります。
そのため、外壁塗装もできる状態を約20~30万円掛けて作りながら外壁塗装をお願いしないのは、非常にもったいないことなんです。
アパートの屋根塗装の作業工程
塗装業者さんにアパートの屋根塗装をお願いするとき、実際にどんな作業が行われるのか把握しておくことはとても大切です。
もし工事中に入居者からクレームがあった場合すぐに対応するためにも、工事スケジュールを確認しておいたり、この日にはどんな作業をするのかを頭に入れておくのがオススメなので、アパートの屋根塗装の流れを一緒に確認していきましょう。
1.足場組み立て・飛散防止ネット
※撮影協力:株式会社三友興業さん
塗装そのものには関係がないところですが、塗装をする職人さんにとって、足場は必ず必要になります。
- 安全に作業をするため
- 作業効率を上げるため
- 塗料の飛散を防ぐネットを張るため
このように、足場はさまざまな理由があって、塗装工事に欠かせないものなんです。
多くの塗装業者さんは、足場屋さんに足場の組み立て・撤去を依頼しますが、自分たちで組む塗装業者さんもいます。
一つで10キロを超える部材もあるので、かなりの体力が必要な作業になりますが、アパートやお隣さんのお家にぶつけて傷がつかないように組むため、力だけではなく慎重な作業性も問われます。
また、アパートの形状をよく見て、メジャーで幅を測りながら組み立てていくので、安全性・使う足場の種類・塗装職人さんの作業性など、いろいろなことを考えながら組んでいるんです。
屋根用足場
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
普段ご近所のお家の工事などで足場を見る機会があるかもしれませんが、お家の周りに鉄パイプが組まれているのがわかりますよね。
しかし、地上からは見えない屋根の上にも足場が組まれていることがあるんです。
傾斜が緩やかな屋根の場合は屋根用の足場が必要ありませんが、立っているのが難しくズルズルと滑ってきてしまうような急な傾斜であれば、屋根用の足場を組みます。
屋根用の足場と言っても、屋根の周りに組まれるような板の足場を使うわけではなく、鉄パイプ状の部材を縦・横に架け渡し、あくまで手すりや背もたれとして使うことが多いです。
また、屋根用の足場を安定させるために、屋根の上にも足場の土台が置かれますが、土台の位置はずらすことができるので、土台が乗っている部分は周りの屋根とタイミングをずらして塗装することが多いです。
飛散防止ネット
塗装中に塗料が飛び散らないよう、足場の周りにネットを張ります。
ネットは、塗装業者さんではなく足場屋さんが、足場の組み立て後に掛けてくれることもあります。
飛散防止ネットは足場の周りを囲って張りますが、外壁塗装をせずに屋根塗装だけの工事であっても、アパートの周り全体にネットを張ります。
2.養生作業
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
養生(ようじょう)とは、塗料を塗る必要がない部分に塗料が飛び散らないよう、保護する作業のことです。
養生作業はマスキングとも呼ばれ、「マスキングテープ」「マスカ―」というテープを使って保護します。
テープとビニールシートが一体になっているものがよく使われ、屋根と足場の間から高圧洗浄の水や塗料の飛散を防ぐためにも養生をします。
養生は、強い風や雨でテープが外れてしまうこともあるため、悪天候で工事が休みの翌日は養生を補強したりと、その都度張りなおす必要があります。
車専用カバーも大切
アパートの入居者やお隣さんの車が近くに駐車してある場合、車専用のカバーを掛けておくことも、職人さんが忘れてはいけない仕事です。
その日の工事の終わりにカバーは取り外し、翌日の工事前に再度必要に応じてカバーを掛けますが、掛け忘れてしまうと車の持ち主からクレームを受けるだけではなく、アパートの場合はとくに入居者からオーナーへのクレームに繋がり、裁判にまで発展することも。
塗装工事でのクレームは、車に塗料が飛散したり汚れが付着したりというような、車に関連したことがとても多いので、アパートオーナーのあなたが塗装業者さんに工事をお願いするときは、車やバイクに汚れや塗料が飛散しないための対策についても、確認しておくのがオススメです。
3.高圧洗浄
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
屋根の汚れや古い塗膜を落とすために、高圧洗浄機を使って洗浄します。
塗膜とは、塗料で出来た薄い保護膜のことで、塗装をしてから長い年月が経つと塗膜が劣化して、ひび割れたり剥がれたりしていきます。
汚れや劣化した塗膜を残したまま塗装すると、塗料が密着できずに浮いたり剥がれたりしてしまいますが、水圧によって古い塗膜をキレイに剥がすことで、塗装を長持ちさせることができるんです。
最初の洗浄が甘いと、そのあとの工程が全て無駄になってしまうため、ただの汚れ落としではなく、高品質な塗装をするためには欠かせない作業です。
高圧洗浄は基本的に、初めに強い圧力を掛けることで、汚れや古い塗膜を浮かせて落としていきます。
そのあと、浮かせた汚れや塗膜を洗い流すために、ホースで水まきをするくらいの圧力で「すすぎ」をします。
すすぎで下に流れた汚れや塗膜は、雨樋に溜まって流れ落ちますが、屋根の傷みが酷い場合は剥がれる塗膜が多すぎて、雨樋が詰まってしまうこともあるので、雨樋の中や、地面に流れ落ちた塗膜もキレイに流します。
洗浄に使う水はどうするの?
戸建てのお家の場合は、お家の外に水道の蛇口があることが多いため、そこから水を借りることがほとんどです。
アパートの場合は、空き部屋があればその部屋の蛇口を借りて水を引きますが、空き部屋がない場合は、塗装業者さんが大きなタンクに水を入れて、トラックに積んで運んで来たものを使います。
タンクに入れてくる場合は、水が足りなくならないように量を考えて、多めに運んでくる必要があります。
水が余った場合は、サービスで依頼に入っていない部分を洗浄してくれる塗装業者さんもいます。
4.塗装:下塗り
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
屋根の下塗りは中塗り塗料を密着させるための工程で、接着剤のような役割を持っていますが、傷みが激しい屋根の場合は下塗り塗料がどんどん屋根材に吸い込まれていき、下塗りとしての意味がなくなってしまいます。
そのため、傷みが激しいほど下塗り塗料の量も多く必要になり、作業に掛かる時間も増えていくことに。
また、下塗り塗料にはいろいろな種類があり、ドロドロしている塗料もあれば、透明で水のようにサラサラしている塗料もあります。
塗装するときはローラーが使われ、サラサラしている塗料の方が塗りやすいですが、勢いよくローラーを転がすと飛び散りやすいため、注意が必要な作業になります。
塗料の分類
下塗り塗料に限らず、塗装工事に使われる塗料は水性・油性の2種類に分けることができ、水性は水で薄めて使い、油性は専用のシンナーで薄めて使います。
油性塗料は水性塗料に比べてシンナー特有の臭いが強いですが、塗装が長持ちしてくれます。
さらに、塗料は硬化剤という液体が必要ない1液型と、硬化剤を混ぜて使う2液型にも分けることができるので、油性の2液型塗料の場合は、専用シンナー+硬化剤+塗料の3つを混ぜて使うことになるんです。
5.縁切り(タスペーサー)
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
縁切りとは、屋根材の間に隙間を作る作業で、スレート屋根と呼ばれる屋根には必ず行われます。
スレート屋根は、セメントで出来た薄い屋根材が重なることで作られていますが、屋根材同士が隙間なく密着していると雨水の通り道がなくなり、雨水が一か所に溜まって雨漏りの原因になってしまうんです。
縁切りは、昔は専用のカッターを使って塗装の上から切り込みを入れることで隙間を作っていましたが、現在はタスペーサーという縁切り専用の部材が使われることがほとんどです。
タスペーサー
タスペーサーは約4cm四方の小さな部材ですが、強力な樹脂を使ったプラスチックで出来ており、30坪前後の建物に対して約1,000個も使います。
薄いスレート屋根の屋根材一枚に対して両端にタスペーサーを差し込んでいくと、屋根材の間にわずかな隙間ができるので、この隙間があることで雨水がキレイに流れてくれるようになります。
差し込むだけの簡単な作業に見えますが、セメント製の屋根材に差し込んでいくため、見た目よりも力のいる作業です。
タスペーサーを使わない部分もある
スレート屋根には、タスペーサーを差し込まない部分もあります。
屋根には、積もった雪が滑り落ちないように、雪止めという部品が取り付けられていますが、その周辺の屋根に隙間を作ると雪止めが外れてしまう恐れがあるので、雪止めの周りにはタスペーサーを使いません。
また、スレート屋根は太陽の熱によって反っていることもあり、その影響ですでに隙間が空いていると、タスペーサーを差し込んでも落下してきてしまうことがあるので、反ったスレート部分にもタスペーサーを使いません。
6.コーキング(シーリング)
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
コーキング(シーリング)とは、弾力のある樹脂で出来ているコーキング材(シーリング材)を使う工事のことです。
お風呂場や洗面所などにあるゴムパッキンのようなもので、密閉する力に優れており、屋根の隙間から雨水が入り込まないようにすることができます。
主に、スレート屋根でコーキングをするところは以下の3つ。
- スレートのひび割れ部分
- 板金の隙間が広く空いているところ
- 板金の釘
スレート屋根は、ほかの屋根材と比べてひび割れや欠けが起きやすいので、ひび割れを補修するためにもコーキングは欠かせません。
また、屋根には板金(ばんきん)と呼ばれる金属製の部材が取り付けられており、屋根の「面」にスレートの屋根材が敷かれているのに対して、屋根の「辺」が板金部分になります。
板金は釘で固定されていますが、強風や地震で釘が浮いてくることがあり、それによって板金もずれたり浮いてきてしまう場合も。
釘や板金の隙間から雨水が侵入して雨漏りになるケースはとても多いので、釘の上をコーキング材で覆い被せることで板金の釘を固定して、板金のずれや浮き、雨漏りを防ぐことができるんです。
コーキングで逆に雨漏りすることがある?
コーキング材は、注入するだけで雨水の侵入を防ぐことができる便利な材料ですが、何でもコーキングをしていいという訳ではありません。
スレート屋根は雨水をキレイに流すために、タスペーサーを使ってスレート同士にわざと隙間を作りますが、雨漏り修理などを悪徳業者にお願いしてしまうと、スレートの隙間をコーキングで全て埋められてしまうことがあります。
隙間を埋めるので、雨水の侵入を防いでいるように思えますが、雨水の通り道がなくなって一箇所に溜まり、逆に雨漏りを引き起こしてしまうんです。
屋根の部分や状態に合った工事をしなければ、今までは起きていなかった雨漏りが発生してしまう可能性があるので、適正な工事をしてくれる優良業者さんを選ぶことが大切なんです。
7.ケレン
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
ケレンとは、専用の研磨材や機械を使って古い塗膜を剥がしていく作業のことを言い、屋根の状況に応じてケレンをするタイミングは変わります。
一般的には高圧洗浄後にケレンを行いますが、写真の屋根のように傷みが激しい場合は、高圧洗浄で塗膜の大半が剥がれ落ちていきます。
また、塗膜がひどく傷んでいると、まだキレイな塗膜に下塗り塗料を塗った時、塗膜がちぢれて剥がれてくることがあり、このような場合は下塗り後にケレンで表面をキレイにしながら中塗りしていかなければいけません。
屋根塗装をすることで塗装前よりはキレイな状態にできますが、あまりにも長期間塗装をせずに放置してしまうと、どんなに塗装をしても放置した分だけ仕上がりに響いてしまうので、定期的な塗装工事が大切になるんです。
屋根のケレンは、一般的に硬い研磨材や小さなブラシで古い塗膜を剥がし、ブロアーと呼ばれる機械で雨樋へ落としていきます。
ブロアーはドライヤーのように風を出す機能があり、風圧でゴミを吹き飛ばすことができます。
8.塗装:中塗り
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
中塗りに使う塗料は上塗りでも使うもので、仕上がった時に出る色となるため、黒い屋根にしたい場合は黒い塗料が使われます。
上塗りで同じ塗料を塗り重ねますが、傷みが激しい屋根の場合は中塗り塗料も吸い込んでしまうため、中塗りで塗料をたっぷり塗っておくことで、上塗りが楽になったり仕上がりもよくなります。
スレートは屋根材が重なって段になっている種類があったり、板金とスレートの間などにも段差があるので、中塗りの時点で出来るだけ段差を埋めておくと、塗り残しを防ぐことにも繋がります。
また、中塗りが薄いと塗りムラになってしまうこともあるため、中塗りは上塗りよりも多めに塗料を塗っておくんです。
塗りムラになりやすい塗料がある?
塗料を塗っても、表面にうまく塗料が乗ってくれずに下地が透けてしまう現象を、「かぶりが悪い」と言います。
塗装のかぶりは塗料によってバラバラで、遮熱塗料はかぶりが悪くなりやすいため、職人さんの腕が試される塗料でもあります。
また、かぶりの良さは塗料の種類だけではなく色によっても変わることがあるため、職人さんはいつも全く同じ作業をしているわけではなく、建物に使う塗料や塗る下地ごとに、キレイに仕上がるよう考えて塗装をしているんです。
塗料の薄め方は屋根の状況に合わせることもある
屋根塗装に使う塗料は、塗料メーカーによって塗料ごとに希釈量(きしゃくりょう)が決められています。
塗料は、水を混ぜて使う水性塗料と塗料用シンナーを混ぜて使う油性塗料がありますが、水やシンナーを塗料に混ぜる割合を希釈量と言い、決められた希釈量を守らなければ塗料が屋根材に密着できず、すぐに剥がれてしまう可能性があるんです。
しかし、あまりにも屋根材が傷んでいると、規定通りに希釈をしても屋根材が塗料をどんどん吸い込んでしまい、塗料をいくら塗っても機能しなくなってしまうので、傷みに応じて水やシンナーの割合を少なくすることもあります。
基本の希釈量は守りつつ、屋根の状態に合わせた臨機応変な対応ができることも、経験豊富な優良業者さんの証です。
9.塗装:ダメ込み
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
ダメ込みとは、屋根の際や角など、ローラーでは塗れない細かい部分の塗装をすることです。
ダメ込みでは刷毛や小さなローラーを使い分け、繊細な作業になるので根気が入りますが、手抜き工事をする塗装業者はダメ込み自体を省いてしまうことも。
とくに屋根は、普段生活する上で見えることがほとんどないため、ダメ込みを雑に行う塗装業者もいますが、優良業者さんは見えにくいところまで、難しい体勢になりながらもきちんと塗ってくれます。
刷毛はローラーに比べて毛の跡が残りやすいため、出来る限りダメ込み用の小さなローラーで塗装をしますが、ローラーよりも細かい部分は刷毛を使い、奥まったところまでしっかり塗ります。
10.塗装:上塗り
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
上塗りを塗ると、中塗りを塗ったあとよりもさらにツヤが出てきます。
中塗りに使った塗料と同じ塗料が使われ、仕上げの作業となるので、職人さんは塗り残したり垂らしたりしないように、注意しながら塗装します。
中塗りでは塗料が屋根材に吸い込まれやすいですが、中塗り塗料をたっぷり塗って吸い込みを止めておくことで、上塗り塗料は吸い込まれることなく、中塗りの上にしっかり乗ってくれます。
そのため、上塗りでは塗料を付けすぎると垂れてきてしまい、仕上がりが悪くなったり、せっかくタスペーサーで空けた隙間が埋まって雨漏りに繋がることもあります。
簡単に思えても実は加減が難しい作業なので、ここでも職人さんの経験や腕が試されるんです。
タスペーサーによる隙間はどのくらい?
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
下塗り後にタスペーサーを挿入したあと、中塗り塗料・上塗り塗料が塗り重ねられていくので、塗装に厚みが加わっていきます。
すると、屋根材の隙間が塗料で部分的にくっつくところが出てきますが、部分的であれば問題はなく、少しでも雨水が抜けられる隙間があればタスペーサーの役割はきちんと果たされています。
この隙間をわざと塗料で埋めたり、コーキング材(シーリング材)で埋めたりすると、雨水が一箇所に溜まって雨漏りが起きてしまうという訳です。
11.塗装:手直し
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
上塗り塗料が乾いたら、塗装の最後の工程として手直しをします。
最初に養生で張っておいたビニールを剥がして、マスキングテープによって塗装ができなかった屋根の側面や水切り部分に、刷毛で塗料を塗っていきます。
もし上塗りがまだ乾いていない場合は、屋根の上に乗って塗装することができないので、アパートの外壁周りに組まれた足場に立って塗装することもあります。
それ以外にも、全体をさまざまな角度からもう一度確認して、塗り残しがないか確認しながら塗料を塗っていきます。
スレート屋根は、屋根材や板金がさまざまに重なり合い、小さな段差がたくさん出来ているので、360℃から確認しなければ、段差の隙間などを塗り残してしまう可能性があります。
普段の暮らしでは見えることのない屋根でも、細かいところまできちんと塗ってくれるかどうかは、塗装業者さんの仕事ぶりが発揮されるところでもあります。
12.掃除・点検
※撮影協力:株式会社ケントリファインさん
掃除は、工事によって汚れたところをすべて掃除していくので、掃除する部分は主に下記の2ヶ所です。
- 雨樋
- アパートの周囲
雨樋は、汚れが残らないように掃除専用の刷毛などでゴミを掃きます。
大きなゴミはその場で取りますが、細かい砂ぼこりなどの取り切れないゴミは、地面まで縦に伸びている竪樋(たてとい)を伝って地上に落とし、排出口で回収します。
アパートの周りは、初めの高圧洗浄で流れ落ちたゴミや古い塗膜を掃除します。
屋根の傷みが激しく塗膜がボロボロに剥がれてしまうと掃除にも時間が掛かりますが、屋根をキレイに塗装するだけでなくアパートの周りもきちんとキレイにして、後片付けまで行ってくれるのが優良業者さんです。
コンクリートの上などは、コンクリートの細かいデコボコにゴミや塗膜が入り込んで、ほうきでの掃き掃除では取るのが難しいため、ブロアーと呼ばれる送風機でゴミを吹き飛ばして集めます。
集めたゴミはほうきとチリトリで回収し、ゴミが落ちていないかもう一度確認して工事は終了です。
アパートの屋根塗装で知っておくべきポイント
アパートの屋根塗装を塗装業者さんにお願いしても、実際にきちんと工事をしてくれるのか、トラブルが起きないかなど、どうしても心配になることもありますよね。
アパートの屋根塗装で気になる、
- 空き巣対策
- 真夏日対策
- 雨天の対応
この3つを一緒に確認していきましょう。
ポイント1:工事期間中の空き巣対策
塗装工事ではアパートの周りに足場が組まれるため、空き巣が足場を上ってアパートの一室に侵入してしまう恐れもあります。
アパートの入居者一人一人に、きちんと戸締りをしておくといった対策を取ってもらうことも大切ですが、空き巣が簡単に入らないように配慮をしてくれる優良業者さんもあります。
足場の周りにはネットが張られていますが、職人さんがネットの中へ入るための入り口が作られていることが多く、足場の上にのぼるために設置される階段の始めが入口になっていることも。
毎日、作業が終わって職人さんが帰る時に入口を塞いでおくだけでも、簡単に足場を上らせない防犯対策ができるので、このようなところにも注意できる塗装業者さんは優良と言えます。
ポイント2:真夏日の屋根塗装
真夏日の塗装工事は職人さんにとって過酷な作業になります。
とくに屋根塗装は屋根の上で長時間作業をするため、外壁塗装と違って常に直射日光を浴び続けることになり、地上との温度差がとても大きくなります。
職人さんは屋根の上で作業をする時、底にゴムの付いた足袋(たび)を履きますが、日差しで熱を持った屋根の上では、あまりの熱さに足の裏がヤケド状態となってしまうため、靴下を二重に履いてから足袋を履く職人さんもいます。
また、基本的に工事を進めるときの職人さんは、お昼休憩の時間や作業の切りがいいところで休憩を取りますが、熱中症を防ぐためにも、真夏日は作業に合わせるのではなく自分自身の体調に合わせて休憩を取ります。
工事をスムーズに進めることも大事ですが、トラブルを防ぐための安全を第一に考えて、十分な水分補給や塩飴の摂取も欠かせません。
ポイント3:工事期間中の雨
塗装工事の途中で雨が降ると、仕上がりに影響しないか、塗装の品質は落ちないかといった、心配事が増えてしまいますよね。
各作業で、雨が降った時にどんな対応をしているのか確認していきましょう。
足場組立や高圧洗浄は雨の日も行う
足場の組立や解体は、基本的に雨の日でも行われます。
足場の部材を雨水で滑らせて落とさないように、また足場を組む職人さんも足場の上で滑らないように、細心の注意を払いながら組んでいきます。
ただし、豪雨や暴風雨など、あまりにも悪天候で危険な場合は、職人さんの安全性やトラブル防止を考えて延期になることが多いです。
高圧洗浄も足場と同じように、荒れた天気で危険な場合でなければ雨でも行うことが多いです。
屋根の上ではとくに、強風や豪雨に合いながらの作業は危ないので、雨の日にできる作業であっても無理をせず、安全に工事を進めることが重要です。
養生は小まめな補強が大切
マスキングテープでビニールを張って養生しても、強い雨に降られると剥がれ落ちてしまうこともあります。
しかし、職人さんはその日の天気を細かくチェックしているので、雨に降られる前に、養生が取れても大丈夫な状態で作業が終わるよう調整しながら工事を進めます。
次の工事で、養生をマスキングテープで補強してから作業を再開するので、小まめな補強が必要な作業なんです。
塗装作業は雨天中止
基本的に塗装をする工程は、雨の日に進めることができません。
もし、塗装中に予定外の雨が降ってしまった場合は作業を中止して、雨がすぐに止んだとしても、屋根の上が乾かない場合は塗装ができない為、その日の工事はそこで終了となります。
塗料を塗ったあと、表面が乾いていれば雨水を弾いてくれますが、まだ表面が乾かないうちに雨が降ってしまったり、突然強い雨に打たれてしまうと、雨の跡がボツボツと出来てしまうことがあります。
雨の跡が出来てしまった場合は、次回の工事で塗料を塗り直したり補修をしますが、塗装に影響が出ないよう注意しながら作業を進めます。
塗装職人さんは雨雲レーダーを見る
職人さんは、休憩時間中はもちろん、作業中も空模様が怪しければ、携帯電話やスマートフォンで天気予報を常に確認しています。
3時間ごとや1時間ごとの天気はもちろん、塗装職人さんは雨雲レーダーを見て雨雲の流れまで随時チェックするので、雲行きが怪しいと思ったらすぐに動けるようにしているんです。
アパートの屋根塗装を成功させる秘訣は「優良業者選び」
あなたの経営するパート屋根を、適正な金額や工事内容で塗装してもらうには、優良な塗装業者さんに工事をお願いすることが一番大切です。
あなた(オーナー)のお住まいが、経営アパートの一室ではなく別に住居を構えている場合は、塗装業者さんとのやり取りが電話やメールだけで済んでしまうこともありますが、工事を依頼した塗装業者の手抜き工事が原因で、入居者からクレームが来てしまう可能性も十分にあります。
また、アパートのメンテナンスは一度で終わりではなく、定期的な塗装工事を行うことで、美しく健康な状態のアパートを保っていくことができます。
そのため、安心して工事をお願いできる優良業者さんを見つけておくと、アパート経営を続ける上で抱えがちなメンテナンスの不安も減らすことができます。
工事中のトラブルを防ぎ、アパートの工事をいつでも安心して依頼できるよう、優良な塗装業者さんの選び方を、私と一緒に確認していきましょう。
地元で評判のいい塗装業者さん
あなたの経営アパートがある地域で評判が高い塗装業者さんは、その地域に密着して塗装業を続けている地域密着型の優良業者さんです。
「適正価格で施工します!」
「安心してお任せください!」
「手抜き工事はしません!」
このような事を塗装業者さん自身が言っても、本当にその通りの対応をしてくれるのかは分からないですよね。
しかし、実際に工事をお願いした人からの口コミや評判を見ることで、第三者からの評価が加わり、どんな対応をしてくれたのかが分かります。
さらに、地域密着型の塗装業者さんは、大手のリフォーム会社と違って下請け業者を使わず、自社の職人や職人仲間が工事をしてくれるので、余計な仲介料が掛からず適正価格で工事ができるんです。
アパートの施工経験がある塗装業者さん
地元に密着した小規模な塗装業者さんの中には、アパートやマンションといった大きな建物の塗装工事に対応していなかったり、施工実績が少ない業者さんもあります。
アパートと戸建てのお家とでは、塗装工事の進め方や注意するところが変わってくるので、アパート塗装の経験がなければ、トラブルが起きたり適正な工事をしてもらえない可能性があります。
とくに、アパートは一つの家庭ではなく様々な入居者が住んでいるため、各入居者への念入りな気遣いも欠かせません。
クレームを発生させず、高品質な塗装工事をしてもらうために、たとえ工事金額や対応に納得できても、アパートの塗装実績が豊富にあるかどうかを、依頼する前に確認してほしいです。
細かいところまで気を配ってくれる塗装業者さん
工事や見積もりの提案をするとき、簡単な説明だけで終わってしまったり、見積書に書かれたことを機械的に行うだけの塗装業者さんもいます。
優良業者さんは、洗浄のサービスやご近所さんへの配慮など、見積書には書かれないようなところでも気遣いをしてくれます。
依頼には入っていなかったとしても、簡単な作業であれば補修や掃除をついでにしてくれる業者さんもいます。
お見積もりの提案をするときも、
「ここも少し補修をした方がいいかもしれないですね」
「この部分はまだ工事をしなくても大丈夫そうです」
このように、必要な工事と不要な工事を、きちんとした根拠と一緒に説明してくれるので、本当に掛けるべき金額で工事をしてもらうことができるんです。
そのため、もしあなたが経営アパートとは別のお家に住んでいても、できるだけ塗装業者さんに直接会って打ち合わせを行うのがオススメです。
また、塗装業者さんと一緒にアパートを見ながら提案してもらうと、お互いの話をスムーズに進めることができるので、あなたのアパートに合った工事をしてもらい、安定したアパート経営に繋げていってほしいです。
最後に…。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
アパート経営で大事な屋根塗装についてまとめてきましたが、分かりづらいところやもっと知りたい情報はありましたか?
どんな小さなことからでもご相談を無料で受け付けているので、お気軽に以下の屋根塗装に関するご相談フォーム・お電話にてご連絡くださいね。
あなたにとって、アパート経営で大事な屋根塗装に関する安心・納得の情報になれれば嬉しいです。
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アパートの屋根塗装がしたい…
誰だって初めてのことには不安を覚えるもの。
私たちのような中立の立場である無料サービスを活用いただき、アドバイス・サポートで安心できる外壁塗装をお手伝いできればと思っています。※外壁塗装コンシェルジュとは
適正な価格や工事内容でアパートの屋根塗装ができる工事店選びから、見積もり金額の適正診断など、全て無料で承らせていただいているので、お気軽に連絡をいただければ嬉しいです。
「屋根塗装の相談がしたい」とお伝えください。ご利用無料 / どんなに小さな事でも相談可能 / 365日受付中- 塗料(35)
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