寒い時期にどの建物でも起こりうる凍害ですが、原因と対策を事前に知っておくことで、無駄なリフォームの出費を減らすことができます。
外壁塗装コンシェルジュ 建物工事のアドバイザー
凍害とは何か、住宅の場合で言えば外壁が凍結することによって生じる障害のこと。
窯業系サイディングと呼ばれる外壁材に発生しやすい破損状態の一つであり、主に塗料の剥離症状の一種として扱われます。窯業系サイディングは耐久性や耐火性に優れるという特徴を持っていますが、一方で凍害が起きやすい外壁素材でもあります。
発生すると危険な凍害の原因と対策を含めて説明していきます。
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凍害とは?
凍害とは、寒冷地においてコンクリートに含まれている水分が凍結・融解を繰り返し、水分が膨張することでコンクリート表面から次第に劣化していく現象のことを指します。
凍害はなぜ発生するのか
凍害を引き起こす原因は、主に外壁の経年によるところが大きいです。
凍害は外壁に起こるヒビ割れ・腐食・サビなどの症状の中でも、もっとも危険な劣化の症状の一つです。凍害を放置しておくと建物の構造そのものにも重大な障害が発生しかねないため、凍害を発見したらすぐにでも対策を取る必要があります。
凍害が発生しやすい地域
平均温度 | 気候区分 | 地域 | 凍害発生率 |
---|---|---|---|
-3~0℃の地域 | 極寒地 | 北海道や東北地方 | 高い |
21~24℃の地域 | 亜熱帯 | 沖縄や九州地方 | 低い |
このように、地域によっても凍害が起こる確立が高いところと低いところが存在しています。それではなぜ、凍害が起こるのか、凍害の種類・原因・発生場所・対処方法を詳しく説明していきます。
【種類】凍害にはどんなものがあるのか
凍害には複数の現象が存在しています。代表的な現象は以下の3つになります。
凍害の症状 | 内容 |
---|---|
スケーリング | スケーリングは、コンクリート内の水分が凍結・融解を繰り返すことでセメントペーストが剥離する現象です。環境としては、最低気温が-2度以下となる寒冷地で起こりやすいです。 |
ひび割れ | スケーリングと同じく、最低気温が-2度ほどまで下がり、コンクリート内の水分が凍結・膨張した際にヒビ割れが生じる現象です。 |
ポップアウト現象 | コンクリートの表面が薄皿状に剥がれ落ちてしまう現象。 |
【原因】経年によって劣化
凍害が起こる確立が高い窯業系サイディングは、始めのうちはしっかりと機能を果たしてくれますが、経年によって劣化すると塗膜の効果が失われ、原料となるセメント材が湿気や水分を吸収しやすくなってしまいます。
外壁が水を含みやすくなると、水の入り込んだ箇所では気温が下がると凍結し、素材が膨張や縮小を繰り返すことで塗料の表面に障害を引き起こします。こうして発生した剥がれやひび割れを凍害と呼ぶのです。
凍害は外壁の素材が低温で凍結することによって発生するため、とりわけ寒冷地や日本海側の湿地で起こりやすい現象です。寒さの厳しくなる冬場においては、関東や関西などの太平洋側の平地であっても発生することがあります。
窯業サイディングにはセメントが含まれているから凍害が起こりやすい 凍害は、寒冷地においてコンクリートやセメント中の水分が外気温差や日の光などの影響を繰り返し受けることで、水分の膨張圧により、コンクリートにヒビ割れや剥離が発生します。窯業サイディングの原料として、セメントなどが含まれているため、凍害になりやすくなっています。
凍害が起こるメカニズム
- 水分が隙間から内部へ侵入
- 水分が凍結と融解の繰り返しで外壁材にダメージを与える
- 水分が凍結に伴う膨張圧でヒビ割れ発生
- 水分がヒビ割れ時に、外壁材が剥がれていく
- 外壁材の剥がれに伴い、建築材が剥き出しになり腐食や欠損が発生する
窯業サイディングの耐用年数とメンテナンス(塗り替え)周期
窯業サイディングは凍害を引き起こしやすい外壁材です。しかし窯業サイディング自体の耐用年数は約40年と長い特徴があります。
この耐用年数を保つには、メンテナンス(塗り替え)を7~8年で行っていかなくてはいけません。
寒冷地ではない場合、凍害が起こる確立は低くなりますが、それでも絶対に発生しないとはいいきれないので、約10年を目安にメンテナンス(塗り替え)を行うことが望ましいです。
【発生場所】凍害はどこに発生するのか
凍害はコンクリート部分に発生しやすいですが、その他の場所にも起こります。
- 窯業系サイディングボードの外壁
- バルコニー
- 建物の角(サイディングボードのコーナーなど)
- 台所、洗面所、トイレ
- リビング
- アルミサッシ
など、凍害はとりわけ水回りに発生しやすい障害です。凍害は外壁の表面に出来るだけでなく、外壁の内部にも深刻なダメージを与えることがあります。
キッチンやバスルームなどの水回り
たとえば、キッチンやバスルームの付近は凍害が発生しやすい箇所です。洗面所やトイレなども同じですが、水回りの湿気の多さは外壁の内側に水分をため込みやすくなっています。そこから水分が浸潤し、冬場になって凍結することで凍害の発生要因になってしまうのです。
室内と室外で温度が違う場所
一方、リビングの外壁も凍害が発生しやすい箇所です。冬場に暖房を使用することが原因だと考えられ、特にサッシの周辺は剥離が起こりやすいので注意しましょう。
凍害は形状の膨張や縮小などといった歪みから生ずるものですが、そのためもともと形状の不安定な箇所にも発生しやすいという特徴を持っています。
その他の発生場所
たとえば、建物の角の部分であるとか、サイディングとサイディングの境目の部分などは要注意です。建物の角もサイディングの境目も、つなぎ目の部分であるため製品不良が起きやすく、形状が安定しないことから凍害が発生しやすくなっています。
また、日射しがあまり当たらない箇所にも気を付けなければなりません。建物の北側は特に日光を浴びることが少ないため、雨水を受けても渇きが非常に悪い箇所です。
日当たりの良い箇所であれば水分を受けてもすぐに乾きますが、北側の日の当たらない部分はそうでないため、冬場の凍結を招いてしまいやすいのです。このように、凍害の発生しやすい箇所については特に注意して点検やメンテナンスを行う必要があると言えます。
【対処方法】凍害の対策と対処
外壁塗装は定期的に行うべきものですが、それは凍害などの被害が発生していないかどうかの点検にもなります。凍害は目に見える障害ももちろんありますが、素人目ではわからないような箇所に被害が出ていることもあります。
外壁塗装をしっかりと行うことで、こうしたチェックの漏れを防ぐことができ、凍害を未然に防ぐことが可能です。
また、凍害の発生原因は主に塗膜の劣化です。経年によって塗膜の効果が失われることによって凍害が発生します。そのため、塗膜の効果がなくなるまえに塗装の塗り替えを行うことが最も有効な対策となります。つまり、凍害が発生する前に対策を打ち、これを未然に防ごうということです。
凍害を発生させないための対策
- 定期的に水回りやコンクリート部分のチェックする
- 築10年たっている場合は専門家に見てもらう
- 窯業系サイディングボードを使用している場合は新築から7~8年で専門家に見てもらう
特に凍害が起こりやすい地域に住んでいる方は、このちょっとした対策でも凍害を未然に防ぐことができます。
凍害を放置した場合…
凍害というのは、発生してしまうと建物の内部にまで被害が浸潤してしまうこともあるため、場合によっては大規模な補修工事をしなければならないこともあります。サイディングを張り替えたり、下地を補修したりすることもあり、そうなると工事の費用もばかになりません。
そうならないうちに対策を取ることで、工事の費用を抑えることができるとともに、建物の外観や内部構造を守ることにもつながります。
外壁塗装はもともと定期的に行うものですから、だいたい10年くらいの周期で工事をしてもらえば、凍害の被害にあうことなく常にきれいな外観を保つことができるはずです。
一番安心する解決方法は専門家に見てもらうこと
凍害は素人が見てもなかなか判断できない障害です。もちろん、塗料の剥離が起きていれば誰の目にも明らかですが、内部に凍害が発生している場合、個人ではもはや対処しきれません。また、たとえ目に見える凍害であっても、それを自分で処理をしようとすることは危険です。
凍害はただ単に塗り替えただけでは直らない
凍害による塗装の剥離は、塗り直しをすれば元に戻るというものではありません。凍害が発生した状態のままその上から塗装をしてしまうと、高い確率で再び塗装の剥離を起こしてしまいます。
凍害はひび割れた外壁から水分が侵入し、外壁の内部構造に重大な損害を与えていることがあります。上辺だけを塗り直しても、外壁の内部まで補修されたことにはならず、そのためすぐに薄利症状が再発してしまうのです。
そのため点検やメンテナンスをするにしても、自己診断をするのではなく、その道のプロにお願いをして見てもらうというのが最も賢明な方法です。
最後に…。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
凍害は寒冷地に多く発生する現象ですが、どこの地域でも起こりえます。
凍害が起きないように、また凍害になった場合すぐ対応できる知識を持つことで、あなたの大切な家を守りましょう。
凍害についてまとめてきましたが、分かりづらいところやもっと知りたい情報はありましたか?
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凍害を直すにはどうしたら…
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