• 地元密着の優良店さんの募集

塗装工事の不備がたくさんありました。工事代金は減額してもらえますか?

お客様からのお悩み 塗装業者に自宅の外壁の塗装工事を依頼しました。塗装工事が完了したというので、引渡しを受け外壁を見てみると、指定した箇所が塗られていなかったり、指定した色味と異なる色で塗装されていたりといった塗装工事の不備がたくさんあったので、請求された代金の全額を支払うことに納得がいきません。
このような場合でも、塗装業者に工事代金を全額支払わなければならないのでしょうか。それとも、減額してもらうことはできますか。

塗装工事に不備がある時の工事費用の減額について、小栗総合法律事務所の小栗先生に聞いてみました。あなたの参考になれれば嬉しいです。

ご質問のご回答

お願いしたはずの内容できちんと工事をしてもらえていないまま、代金を全額支払うのは納得がいかないですよね。

ここでは、工事代金の減額請求など、塗装業者に対して法的に何かを請求することができるかどうか、考えていきたいと思います。

契約違反に当たるかどうかを契約書で確認しましょう

まずは、あなたと塗装業者との間で交わした契約内容に、

  • 今回塗装業者が行っていない工事
  • あなたが指定した塗料で塗装工事を行うこと

これらが、含まれているかが問題になります。

契約したはずの内容を塗装業者が見落としたのであれば、業者の契約違反となるからです。

そこで、塗装業者と取り交わした契約書を確認し、塗られていなかった箇所をあなたが工事箇所として指定しているかどうか、塗料の色をあなたの希望通りに指定しているかどうかを確認しましょう。(契約書という名前の書面でなくても、作業指示書や注文書といった書面の中に契約内容が書かれていることもあります。)

いずれにしても、あなたが依頼した工事や作業内容が、あなたと塗装業者との間できちんと契約内容として認識されていることが大切です。

契約書などの塗装工事の内容を定めた書面に書かれていることを、塗装業者が行っていないのであれば、それはあなたとの合意の内容に沿った契約内容が実行できていないということになるので、契約違反を理由に塗装業者に対して法的な責任を問えることがあります。

反対に、工事内容に関する指定がきちんと書面で残っていない場合、塗装工事契約の違反を理由に、塗装業者に法的な責任を追及するのが難しくなることもあります。

契約違反に当たる場合、どのような請求ができるでしょうか

では、仮に塗装業者が塗装工事の契約に違反していることが明らかな場合、法的な責任追及としては何をすることができるのでしょうか。

代金の減額に関する規約を確認する

工事に不備があった場合、注文者であるあなたが塗装業者に対して、契約書上何が請求できるかを確認してください。(例:代金に関する協議の実施や工事のやり直しの請求など)

契約書の内容で、代金の減額に関する規約があれば、あなたは塗装業者に対して契約に基づいた代金の減額を請求することができます。

代金の減額に関する規約がない場合

工事の不備に関する決まり事が、契約書に何も書かれていなかった場合はどうでしょうか。

塗装工事契約は、現在の民法では「請負契約」に分類されることが大半です。

請負契約とは「仕事の完成」を目的としていて、「注文した人が完成した仕事に対する対価を支払うこと」という内容の契約を指します。

しかし、現在の民法では仕事の目的物に問題がある場合に、注文者に代金減額請求権があることがはっきりと定められておらず、民法の条文で明らかに認められているのは以下の2つ。

  • 不備を直すこと
    (現行民法の条文上では「瑕疵の修補」といいます。)
  • 不備によって生じた損害の賠償請求
    (現行民法の条文上では「修補に代わる損害賠償」といいます。)

したがって今回の塗装工事に不備があると判断された場合、塗装業者に対して塗り直しを要求したり、別の業者に塗り直しを頼んだことによって生じた代金に相当する額の賠償を求めたりすることが可能です。

さらに、上記の損害賠償請求権とあなたの代金支払債務によっては、結果的に塗装業者に支払う工事金額を減らすことができる可能性があります。

民法(債権法)改正に関する注意点

なお、今までの説明の中で、わざわざ「現在の民法」と書いたのには理由があります。

それは、2020年4月1日から民法の債権法分野の改正法が施行されるため、この日以降に契約した塗装工事に関しては、改正後の民法が適用されることになるからです。

改正後民法における請負契約では、工事の不備のやり直しや損害賠償を請求できる場合のほかに、一定の理由がある場合には注文者が「代金減額請求権」を得ることが定められています。

その為、改正後民法の下では、工事不備を理由に代金の減額が認められることがあるんです。

最後に:責任追及の期間に注意!

ただし、現在の民法の下でも、改正後民法の下でも、工事の不備について塗装業者の法的責任を追及するには期間の制限があります。

工事が完了し、塗装業者からあなたのお家の引渡しを受けて、工事の不備が発覚してから1年ほどしか時間がありません。

もし、塗装業者に対して、塗装工事の不備に関する責任を追及したいのであれば、速やかに対処するようにしましょう。

いずれにしても、あなたが塗装工事の「不備」だと指摘した点を理由に、塗装工事業者に法的に責任を追及できるかどうかは、

  • 慎重な判断が必要
  • 責任追及ができる期間が限られている

このようなことに注意が必要です。

小栗先生の紹介ページはこちら 今回、弁護士の探し方についてご回答いただいた、小栗先生の詳細は下記ページで確認できます。 今ご覧いただいている記事以外にも、外壁塗装で起きるトラブルについて記事を監修いただいているので、そちらも下記ページからご確認いただければと思います。
小栗総合法律事務所の詳細