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神戸市は「六甲山系で二分された地形」 外壁塗装で気を付けるべきこと

執筆者 多胡安那(気象予報士・熱中症予防管理者[指導員])
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函館、長崎とともに三大夜景の一つに数えられる神戸の夜景。

その美しさは、”1000万ドルの夜景”とも称されるほどですが、そんな神戸市の地形は、六甲山系によって南北に二分された形となっています。

六甲山系の南側は大阪湾に面しており、六甲山系の山麓部と、海岸低地や埋立て地によって構成。

幅3キロ程度の細長いエリアが市の中心部となっており、「神戸ハーバーランド」などの人気の観光スポットもこのあたりに位置しています。

一方、六甲山系の北側には、緩やかな丘稜や播磨平野に連なる平野部で構成される“西神地域”と、丘稜地が波状に広がる“北神地域”によって構成されており、南側とは全く違う地形です。

神戸市は比較的、塗装作業がしやすいエリア

神戸市は比較的、塗装作業がしやすいエリア

神戸市の気候分布は全体的には「瀬戸内海型」の気候に分類されますが、年間を通して温暖・少雨の「瀬戸内気候区」と、大都市特有の「都市気候」で構成されています。

雨が少なく、比較的、湿度も低めで、カラッとした陽気の日が多く、冬は西高東低の冬型の気圧配置になる日が多いため、空気の乾燥が顕著です。

冬から春先にかけてが特に空気が乾燥しやすく、湿度がひとケタまで下がるような日も。

近年だと、2012年3月29日に湿度が10%まで下がり、同年4月2日には6%まで下がりました。

外壁塗装は雨と湿気が大敵であるため、雨がそれほど多くない神戸市は作業がしやすいエリアといえます。

ただ一方で、梅雨時や夏場には大阪湾を北上する暖かく湿った空気が流れ込みやすく、山沿いを中心に局地的な大雨になりやすいという側面ももっています。

神戸市の平年の年間降水量は1216.2ミリで、東京都心(1528.8ミリ)とくらべると8割程度ですが、年間で最も雨が多い6月には月降水量が180ミリ以上となり、特に山沿いで雨量が多くなる傾向があります。

外壁塗装は塗料を乾燥させ、塗料の薄い層を重ねていく作業となるため、塗料が乾くのには時間がかかります。

湿度が高い日は乾燥が進まないため、雨が降っていなくても作業には向かない日といえるでしょう。

梅雨時や夏場の作業は天気に左右されることが多くなるため、作業プランやスケジュールを組む際は注意が必要となります。

神戸市は場所によって違う天気傾向

神戸市は六甲山系の南側と北側で、その天気傾向は大きく違ってきます。

中心部にあたる六甲山系の南側は瀬戸内海の影響をうけやすく、比較的、温暖な気候ですが、一方で六甲山系の北側で海抜高度があり、南側に比べると気温は低めです。

また、六甲山地は湿った空気が流れ込むと雨雲が発達しやすく、時として激しい雨や大雨をもたらすことも少なくありません。

六甲山地は須磨から宝塚にかけての東西に約30キロにのびる山地。

その標高は最も高い所で1000メートル近くあり、そこに雨雲の素となる湿った空気が流れ込むと、上昇気流が強まって一気に雨雲が発達しやすくなります。

神戸市で大雨になるパターンは、瀬戸内の西よりの風と紀伊水道から入る湿った南風がぶつかることによって、雨雲が発生するケース。

そして、その雨雲が六甲山地にぶつかることで発達して、大雨をもたらすケースです。

大きな現象としては梅雨前線や秋雨前線といった停滞前線に伴う大雨が最も多く、年間降水量が特に多いのは6月と7月といった梅雨シーズン。

また、台風や台風に伴う湿った空気による大雨も多くなっています。

山沿いエリアの塗装作業は天気急変に注意

大雨になりやすいエリアとしては沿岸よりは山沿いが中心で、同じ市内でも場所によって雨の降り方や雨量が大きく違うのが神戸市の特徴です。

2014年、台風11号が西日本を直撃した時には、8月10日の朝に高知県安芸市に上陸したあと、昼前に兵庫県南部に再上陸しました。

その際、神戸市では午前9時頃から12時頃にかけて大雨となりましたが、大雨ピーク時の雨量を比べてみると、同じ神戸市内でも雨量が大きく違っています。

 

気象台では1時間雨量の最大が45.5ミリであったのに対し、気象台の10キロほど北東に位置する有馬川雨量観測所では88ミリを観測。

期間中の総雨量も気象台が268ミリだったのに対し、有馬川では526ミリと、同じ神戸市内にもかかわらず大きな違いがでていました。

これは、地形による原因が大きく影響しているためで、六甲山系で特に降水量が多くなる傾向が顕著に表れています。

同じ神戸市内でも山側エリアは大雨になりやすい

外壁塗装の作業をする場合も、神戸市内のどのエリアで作業するかによって天気は変わってきます。

沿岸部ではそれほど多くならないと予想される雨でも、山沿いでは長い時間、雨が続いたり、雨量が多くなることが多いです。

ひとたび大雨になると、地盤が緩んで土砂災害が起きやすくなったり、川が氾濫するケースもあるため、雨が止んだあともすぐに作業を再開できるとも限りません。

特に山沿いは沿岸部よりも大雨になりやすく、かつ影響も大きくなる傾向がありますので、そのあたりも考慮して作業プラン考える必要があります。

神戸市の夏の塗装は雷雨に注意

さらに近年増えているのが、短い時間に激しい雨が降って大雨になるケースです。

局地的かつ、いつ発生するか分からないため、「ゲリラ豪雨」と呼ばれたりもしますが、このような雨は予想が難しく、想定外の大きな被害をもたらすことも少なくありません。

突然の大雨、あなたのお家の外壁塗装は大丈夫ですか?

特に気温が上がる夏場は上空との温度差が大きくなるため、大気の状態が不安定になり、突然、雨雲が発達することが多くなります。

山沿いで発生した雨雲が平野部にも流れ込んで市街地でも激しい雨や雷雨になり、1時間に100ミリくらいの猛烈な雨が降ることもあります。

そのような状況が予想される場合には、気象庁から「雷注意報」が発表され、大雨による土砂災害や浸水害が発生するおそれがあると予想される場合には、「大雨注意報」や「大雨警報」などで注意・警戒を呼びかけています。

外壁塗装の作業をする際は、そのような情報にも留意しながら進めていただきたいです。

外壁塗装は雨と湿気が大敵です

具体的に、1時間雨量とその影響を示すと、1時間に10~20ミリの雨はザーザー降りの雨で、地面に水たまりができるようになります。

20ミリ~30ミリの雨になると、土砂降りの雨で、傘をさしていても濡れるレベルに。

車の場合はワイパーを速くしても見づらくなるような降り方です。

さらに強まって30ミリ~50ミリの雨量になると、激しい雨となって、バケツをひっくり返したような降り方になってきます。

このくらいの雨になると、道路はまるで川のような状況になってしまいます。

50ミリ~80ミリになると非常に激しい雨となり、水しぶきで辺りは白っぽく視界が悪く、それ以上になると、息苦しさや恐怖を感じるくらいの猛烈な降り方となります。

外壁塗装は雨と湿気が大敵なため、特に梅雨から夏場にかけては作業がスムーズに行えない日も多くなります。

あらかじめ雨が予想できる場合には早めに中止を決定したり、スケジュールを調整することもできますが、ゲリラ豪雨のような場合は予想が難しく、そうもいきません。

晴れていても突然、天気が急変することが多いので、作業中も空模様の変化に注意を払う必要があります。

「真っ黒な雲が頭上に広がってくる」「急に冷たい風が吹いてくる」などの発達した積乱雲が近づく兆しがある場合には、すみやかに塗装作業を中止するようにしましょう。

雷に遭遇したら、すぐに丈夫な建物へ

天気が急変するような状況の時は、激しい雨だけでなく、雷を伴うことも多いです。

神戸市の雷日数をみると、年間では平年で13.5日。

特に多いのは、7月から9月にかけての梅雨から夏にかけてとなっています。

外壁塗装作業中に雷に遭遇した場合には、鉄筋コンクリート建築や自動車など、頑丈な建物に避難するようにしましょう。

もし、近くに安全な空間が無い場合には、電柱などの高い物体のてっぺんを45度以上の角度で見上げる範囲で、4メートル以上離れた所に身を置くようにします。

出典:気象庁 急な大雨や雷・竜巻から身を守るために ~積乱雲が近づいてきたら・・・~

よく木の下に避難する人がいますが、それは最も危険な行為の一つです。

雷というのは高い所に落ちる傾向があり、さらに木のそばにいると、木に落ちた雷が人に飛び移ること(側撃雷)があるため、木の下での雨宿りはとても危険です。

また、軒下なども屋根に落ちた雷が壁をわたって伝わるおそれがあるため、危険な場所といえます。

あやしい雲が近づいてきたり、ゴロゴロと雷鳴が聞こえだしたら、すみやかに作業を中止し、安全な場所に避難することを心がけていただきたいです。

秋は台風の進路になることも

台風が神戸市に上陸または再上陸したことは過去数回しかありませんが、近畿地方に台風が接近したり、上陸することはよくあります。

台風の月別の経路をみると、春先は西に進んでフィリピン方面に向かいますが、夏になると太平洋高気圧のまわりを回って日本に向かって北上する台風が多くなります。

出典:気象庁 台風の発生、接近、上陸、経路

そして、9月になると南海上から放物線を描くように日本付近を通るコースになり、近畿地方を直撃するような進路をたどることも少なくなりません。

そうなると、当然、神戸市でも台風の影響を大きくうけることになり、大雨や暴風に見舞われるようになります。

実際、2017年9月17日、兵庫県明石市付近に台風18号が再上陸した際は、神戸市でも1時間に56.5ミリの非常に激しい雨を観測。

神戸市での1時間雨量としては、過去5位の多さとなりました。

また、同じ年の10月に発生した台風21号の時には、神戸市で最大瞬間風速45.9メートルを観測し、過去3番目の記録となっています。

さらに秋は日本付近の海面水温が高いため、台風があまり衰えることなく、強い勢力のまま近づいてくることが多いです。

そうなると、神戸市でも大雨や暴風が吹き荒れることがあり、それだけ被害も大きくなるおそれがあります。

 

台風が上陸しなくても危険なエリア

台風が近畿地方に上陸しなくても、四国や九州地方などを進む場合は油断ができません。

台風が四国や九州付近を進むということは、神戸市など近畿地方は台風の進行方向の東側に入ることになります。

台風は反時計回りの風が吹いているため、台風の東側では南よりの風が吹くことになり、雨雲の素となる湿った空気がどんどん流れ込んできます。

台風が四国や九州付近を北上すると、神戸市付近には紀伊水道から湿った空気の流れ込みが続くことになりますので、雨雲が急激に発達することも。

台風が近畿地方に接近、上陸しなくても、台風の東側に入るときには大雨になるおそれがありますので、注意が必要です。

また、台風の東側では台風特有の反時計まわりに吹く風向きと移動方向が一致するため、西側に比べて風が強くなります。

神戸市の中心部にあたる六甲山系の南側、沿岸部を中心に風が強まりやすく、暴風が吹き荒れることもあって、塗装作業には支障をきたすようになります。

台風が遠く離れた後でも吹き返しの風が吹くため、なかなか風が収まりません。

台風一過の青空が広がっても風の強い状態はしばらく続きますので、外壁塗装の作業は強い風への対策が必要となります。

風が強いと塗料を塗っているときに飛んでいってしまい、トラブルになることもあります。

たとえ作業ができるくらいの風速であっても、まわりへの影響がでる可能性がある時は、そういった配慮もできる業者だと安心して作業をお願いできるでしょう。

秋は台風+秋雨前線で大雨警戒

さらに9月は台風だけでなく、秋雨前線による大雨も重なることがあり、雨量が多くなりやすい時期でもあります。

神戸市の月別降水量の平年値をみると、多い順に6月、7月、5月と続きますが、次いで多いのが9月。

秋雨前線が西日本に停滞すれば、それだけ雨が長期間にわたって降り続くことになり、雨の量はどんどん増えていきます。

また、前線が離れていても、日本海に停滞する場合には雨雲の素となる湿った空気の流れ込みが続くため、この場合も雨は多くなるわけです。

神戸市は全国的にみて特に雨が多いエリアというわけではありませんが、台風や前線、湿った空気の影響をうけると大雨になりやすい所です。

ゲリラ豪雨のような局地的な雷雨は突然やってきますが、台風や前線に伴う雨はある程度、前もって予想できる現象です。

天気予報でも雨の見通しや雨量についても、随時お伝えしているので、作業プランやスケジュールを立てる上で参考にしていただきたいです。

まとめ

神戸市は同じ市内でも、六甲山系の北側と南側では天気傾向が違います。

北側は大雨になりやすく、天気の急変もおきやすいエリア、南側は風の影響をうけやすいエリアです。

特にから夏にかけては急な激しい雷雨に、秋は台風や秋雨前線もよる大雨に注意が必要となります。

前線が停滞してしまう時期は大雨が長引くこともありますので、塗装作業のスケジュールには余裕があった方がいいかもしれません。

逆に冬から春先にかけては晴れて、空気の乾燥した日が多く、塗装作業がしやすい季節となります。

外壁塗装の年間プランを立てる際は、季節ごとの天気傾向も考慮してきめるとスムーズに進めることができるでしょう。

執筆者 多胡安那(気象予報士・熱中症予防管理者[指導員])
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