空き家を放置するデメリットや対処法を知ることで、あなたの抱える空き家への不安を減らすことができます。
外壁塗装コンシェルジュ 建物工事のアドバイザー
ここ数年、日本では少子高齢化にともなって空き家が増えており、そのまま何年も空き家を放置してしまう人が多いことで問題になっています。参照:国土交通省 空き家等の現状について
もし、あなたも放置したままの空き家を抱えている場合、実は大きなお金を支払うことになったり、トラブルになってしまう恐れがあるんです。
知らず知らずのうちに大きな問題へと発展させないためにも、空き家をそのまま放っておくと発生するデメリットや、空き家になってしまったお家の対処法を、私と一緒に見ていきましょう。
空き家を放置しておくと発生するデメリット
あなたの所有する建物が何年も空き家になっている場合、放置し続けることで大きなデメリットが発生する可能性があります。
高額なお金を支払うことになってしまう場合もあるので、空き家を放置しておくデメリットを一緒に確認していきましょう。
デメリット1.劣化が進む
空き家は、換気不足によって湿気が溜まりやすくなり、カビやコケなどの繁殖やシロアリなど害虫の発生にも繋がって、どんどん劣化が進んでしまいます。
外壁や屋根の塗装が劣化すると、お家の防水機能が失われて、雨水や湿気が外壁材や屋根材の内部にまで浸透してしまうことで、雨漏りやお家全体の腐食が進み、ボロボロになってしまうこともあります。
お家の骨組みまで劣化が進んでしまうほど空き家を放置すると、そのお家にもう一度住んだり、賃貸物件として利用することもできなくなってしまい、メンテナンスをしようと思っても、大規模な修繕が必要になる可能性があるんです。
デメリット2.資産価値が下がる
資産価値とは戸建ての場合、「建物の価値」と「土地の価値」のことを指し、資産価値は年を追うごとに下がっていきます。
さらに、資産価値は築年数だけでなくお家の傷み具合によっても変動するため、劣化が進んでいるほど資産価値は下がってしまうので、空き家を売却しようとしたら、思っていたより売却価格が安かったという場合もあります。
また、お家の資産価値を考えるときに大切なのが「法定耐用年数」というもので、お家の構造によって以下のように定められています。
お家の種類 | 法定耐用年数 | |
---|---|---|
木造・合成樹脂造りのお家 | 22年 | |
木骨モルタル造りのお家 | 20年 | |
鉄骨鉄筋コンクリート ・鉄筋コンクリート造りのお家 | 47年 | |
レンガ造り・石造り・ブロック造りのお家 | 38年 | |
金属造りのお家 | 骨格材の厚み:4㎜~ | 31年 |
骨格材の厚み:3~4㎜ | 27年 | |
骨格材の厚み:~3㎜ | 19年 |
法定耐用年数とは国が定めた建物の寿命を指し、お家の資産価値は法定耐用年数によって決まることが多いです。
木造戸建て住宅の場合は一般的に、新築時の資産価値を100%とすると築10年で資産価値が約半分にまで落ち、築20年以上経つとほぼゼロになるため、空き家を放置すればするほど建物の価値は下がってしまうんです。
もちろん、木造戸建て住宅は築年数が22年経過しても、住み続けることはできます。
法定耐用年数とは実際の寿命ではなく、不動産の取引などで扱われる時の基準となるので、建物の売却価格も法定耐用年数を基準にされることがほとんどです。
空き家を定期的にメンテナンスしてキレイな状態を維持できていれば、放置しておくよりも資産価値は下がりにくくなります。
そのため、空き家を売りたい時に、放置していた場合に比べて高値で売れる可能性があり、空き家は放っておかずにきちんと管理しておく必要があります。
デメリット3.税金の問題
あなたが空き家を所有している場合、たとえ空き家を使っていなくても、固定資産税という土地や建物に関する税金を支払う必要がありますが、固定資産税には、土地に建物が建っているだけで税額が最大6分の1になるという優遇措置があります。
評価額が4,000万円の土地
固定資産税 | 差額 | |
---|---|---|
優遇措置が適用 | 93,000円 | 467,000円 |
優遇措置の適用外 | 560,000円 |
しかし、国は年々空き家が増えている事態を受けて、平成27年に「空き家対策特別措置法」を定めており、下記のような条件に該当する空き家は「特定空き家」に認定されて、税金が高くなる可能性があります。
- 倒壊の恐れがあるお家
- 衛生的に悪影響が及ぶ恐れがあるお家
- 管理されておらず景観を損ねているお家
- そのほか、周囲の生活環境に悪影響を及ぼすお家
あなたの持つ空き家がこれらに該当し、「特定空き家」と指定されてしまった場合、改善が認められることで特定空き家とは見なされなくなりますが、何もせずに放置し続けたり改善が認められないと、固定資産税が最大6分の1になる優遇措置が適用されなくなってしまうんです。
そのため、空き家をそのままにしておくと、固定資産税が最大で6倍にまで上がってしまう恐れがあります。
デメリット4.ご近所とのトラブル
空き家にしたまま何年も放置しておくと、以下のように空き家の周りで暮らすご近所さんへも悪影響が出てしまいます。
- 草木が伸びきってお隣さんの敷地に入り込む
- 景観が悪くなり生活に支障が出る
- 害獣が住み着いたり、不法投棄などによって異臭問題が起きる
- 害獣・害虫が住み着き近隣のお家にまで被害が及ぶ
- 古くなって破損した建材が近隣のお家に落下したり傷付けたりする
- 放火の現場として狙われやすくなる
お家の中は、人が生活しているだけで空気が動きますが、人が長年住んでいないお家は、空気の流れが止まることで湿気を溜めやすくしてしまうため、それだけでもお家をどんどん老朽化させたり、草木の繁殖や悪臭、害獣・害虫の原因になります。
そのため、事故の危険性やご近所さんからのクレーム・裁判にまで発展する可能性もあり、空き家の管理をせずに放っておくと思わぬトラブルを招いてしまうんです。
空き家の適切な対処法は?
空き家を管理しないと、高いお金を払うことになったり、トラブルに巻き込まれる可能性が高くなってしまいます。
あなたの持つ空き家をどのように対処すればいいのか、大きな問題に発展しないよう一緒に確認していきましょう。
【1】空き家を売却する
空き家の管理が難しいのであれば、空き家を売却するという方法があり、一般的に以下の2種類があります。
- 中古住宅
- 古家付き土地(ふるやつきとち)
中古住宅とは、築20年以上経っていても住むことができるお家のことを指し、住むことができない状態の場合は、「土地がメインで建物も付いている」という形で古家付き土地として売り出します。
古家付き土地となる場合の「住むことができない」という判断は不動産が決めるもので、実際には買い手がリフォームをしてそのまま住んだり、解体して新しくお家を建てたりして使われ、古家付き土地の建物をどうするかは買い手の判断になります。
中古住宅のほうが売却価格は高くなりますが、古家付き土地は、空き家を売るあなたが買い手に対して、空き家に関する責任を負わずに済むというメリットがあります。
例えば、あなたが空き家を古家付き土地として売却した後、そのお家で雨漏りが起きたりしても、あなたは責任に問われず買い手自身が対応するということです。
そのため、空き家を高く売りたい場合は中古住宅として、空き家を後腐れなく手放したい場合は古家付き土地として売りに出すのがオススメです。
【2】空き家を賃貸する
空き家となったお家に思い出が詰まっていると、手放したくないと思うかもしれませんが、その場合は賃貸物件にするという方法もあります。
賃貸にすると、あなたが所有しているという状態は変わらないまま、人に住んでもらうことでお家を適切に維持することができて、家賃収入も得ることができます。
しかし、古い空き家の場合、お家の内装・外装をキレイにリフォームしてからでないと、借り手が見つからない場合も多く、お家を貸せるまでに費用と時間が掛かってしまうこともあります。
借り手がいない期間は家賃収入が入らず、借り手が見つかった後も、お家のメンテナンスなど管理する責任は貸す側のあなたにあるため、管理費用も掛かります。
そのため、空き家を賃貸物件として貸したい場合は、しっかりと計画を立てて進めることが大切です。
【3】空き家を解体する
空き家を放置してしまわず、解体するという対処法もあります。
築年数の古い建物が残っている土地よりも、更地にすることで早く買い手が見つかる可能性があり、古家付き土地として売却するより高く売れる可能性があるんです。
しかし、空き家を解体するには解体費用と廃棄処理費用が掛かり、木造戸建て住宅の場合は1坪あたり4万円が相場となるため、約30坪の一般的な戸建てを解体するには約120万円必要になります。
地域によっては、空き家の解体に関する助成金が出るところもあるので、解体を考える場合は空き家が建っている地域の自治体に確認するのがオススメです。
また、土地は建物が建っていることで固定資産税が最大6分の1にまで優遇されるため、空き家を解体してしまうと、翌年から最大6倍の固定資産税を支払わなければいけないことに。
更地にして売り出したとしても、すぐに買い手が見つかるとは限らないので、高額な税金が発生するという点も注意しておきましょう。
空き家は外壁塗装をした方がいい?
あなたの持つ空き家を解体せずに、売却したり賃貸物件にしたいと考えている場合は、外壁塗装をしておくのがオススメです。
あなたの抱える空き家問題を解決するためにも、空き家を外壁塗装するメリットについて、私と一緒に確認していきましょう。
空き家を売却する時に有利
空き家を外壁塗装してから売りに出すことで、お家の外観がキレイになり、買い手はお家を買うときに外壁のメンテナンス費用を掛ける必要がなくなるため、買ってもらえる確率が上がります。
そのため、もし現在あなたが空き家を売りに出していても、買い手がなかなか見つからないようであれば、外壁塗装をしてみるのがオススメです。
また、外壁塗装は雨水の侵入を防いだり、紫外線による傷みを防ぐことができるので、買い手が見つからない間も劣化しにくくキレイな状態を維持しやすくなります。
空き家をあまりにも長く放置してしまっていると、大規模なメンテナンスが必要な場合もあるので、早めに外壁塗装をしてお家の健康状態を維持しておきましょう。
空き家を賃貸する時に有利
あなたの持つ空き家を賃貸にする場合も、空き家の売却をする場合と同じように、外壁塗装をしておくと借り手が見つかる可能性が高くなります。
戸建ての賃貸物件を探している人にとって、お家の見た目がキレイという点も選ぶ時の大きなポイントですが、それ以前に安心して暮らすことができなければ選んでもらえなくなってしまいます。
外壁塗装によってメンテナンスされていることで、
「これから生活するお家はきちんと管理されているな」
「大家さんはしっかりメンテナンスをしてくれる人なんだ」
このように、物件に対する安心感や、貸主となるあなたへの信頼感が生まれます。
借り手が見つかってこそ家賃収入が得られるので、外壁の美しさとお家の安全性のためにも、早めに外壁塗装を検討しておきましょう。
空き家の外壁塗装をするタイミングやオススメ塗料は?
もしあなたの持つ空き家で外壁塗装をしたことがあっても、一度塗装をすればいいというわけではなく、定期的に行う必要があります。
しかし、いざ空き家を外壁塗装しようと思っても、どのタイミングで外壁塗装すると良いのか、塗料の種類はどれが良いのかなど、分からない事でいっぱいですよね。
空き家をきちんと外壁塗装するためにも、塗装工事をする適切なタイミングや、オススメの塗料を一緒に見ていきましょう。
空き家を外壁塗装する適切なタイミングは?
あなたの持つ空き家を外壁塗装する、適切な時期となるのは以下の2つです。
- 外壁に劣化症状が出てきた
- 前回の塗装工事から10年以上経っている
外壁塗装すべきタイミングを逃さないためにも、それぞれ詳しく見ていきましょう。
外壁に劣化症状が出てきた
あなたの持つ空き家の外壁が、以下のような状態になっている場合は劣化が進んでいる可能性が高いです。
外壁の状態 | 劣化の詳細 |
---|---|
コケ・藻が発生 (緑色に変色) | コケや藻は湿気の多いところに繁殖しやすく、発生すると外壁が緑色に変色するため衛生的にも悪くなります。 |
カビが発生 (黒色に変色) | カビは一見するとただの黒ずんだ汚れに見えますが、菌が根を張るため落としにくく、人によってはアレルギーを発症する恐れもあります。 |
ひび割れ | 外壁の塗装にひび割れが起きると、雨水が下地まで侵入してしまい、腐食の原因になります。 |
塗装の剥がれ | ひび割れから発展して剥がれることが多く、外壁の下地がむき出しになってしまうため、お家全体の防水機能が低下してしまいます。 |
色あせ | 紫外線が当たり続けることで色あせていき、まだらに色あせると見た目が悪く塗装の耐久力も落ちていきます。 |
触ると手に白い粉が付く | チョーキング現象とも呼ばれ、紫外線によって分離した塗装の顔料が表面に浮き出てしまっている状態で、塗料の機能が失われてきています。 |
これらは外壁が劣化している状態で、外壁塗装をするタイミングが来ているというサインなんです。
外壁塗装に使われる塗料は、雨や紫外線からお家を守るための機能が備わっていますが、年月が経つにつれて自然と効果は失われていき、上記のような劣化症状が表れてきます。
劣化症状が出ている状態のまま空き家を放置してしまうと、外壁の傷みはどんどん進み、メンテナンスに掛かる費用が高くなってしまうことも。
あなたの持つ空き家の外壁が劣化してきている場合は、早めに外壁塗装をしておくのがオススメです。
前回の塗装工事から10年以上経っている
過去にも空き家を外壁塗装している場合、塗装工事から10年以上経っていれば外壁塗装をするタイミングが来ているかもしれません。
外壁塗装に使われる塗料は、グレードと呼ばれる品質レベルで分類されており、グレードが高いほど、次の塗装時期を延ばすことができます。
塗料のグレード | 次の塗装時期 |
---|---|
アクリル系塗料 | 約2~3年後 |
ウレタン系塗料 | 約5~7年後 |
シリコン系塗料 | 約7~12年後 |
ラジカル制御型塗料 | 約8~13年後 |
フッ素系塗料 | 約10~15年後 |
無機系塗料 | 約15~20年後 |
このように、外壁塗装をしてから次の塗装工事が必要になるまでの期間は、使う塗料のグレードによって変わることが多いんです。
しかし、前回の外壁塗装でどんな塗料を使ったのか分からない場合は、10年を目安にするのがオススメ。
現在外壁塗装に使われている塗料は、次の塗装時期までの期間が10年前後であることが多いため、あなたの持つ空き家が10年以上外壁塗装をしていない場合は、塗装工事を検討しましょう。
また、空き家になり管理していない状態が長い場合は、使われているお家よりも湿気が溜まりやすいため、本来より早く劣化が進んでいる可能性もあります。
外壁塗装を検討したり、外壁の状態を正確に知るためには、優良な塗装業者さんへ空き家の建物調査をお願いしてほしいです。
空き家の外壁塗装でオススメの塗料
空き家の外壁塗装をする時は、塗装の寿命が10年以上期待できる塗料を使うことで、空き家を売却したい場合も、賃貸物件にしたい場合もメリットが生まれます。
「空き家を外壁塗装する適切なタイミングは?」でもお話しさせていただいたように、外壁塗装の塗料はグレードによって塗装の寿命が変わり、それに応じて次回の塗装時期も変わります。
長持ちする塗料ほど価格は高くなり、逆に塗装の寿命が短いグレードほど価格を安く抑えることができます。
そのため、グレードの低い塗料を使って、少しでも工事金額を抑えた外壁塗装をしたいと考えるかもしれませんが、空き家の外壁塗装をする時に私がオススメしたい塗料は、以下のような塗装が長持ちする塗料です。
塗料のグレード | 単価相場 | 特徴 |
---|---|---|
シリコン系塗料 | 約2,500 ~3,500円 | 塗装の寿命を10年前後持たせることができて、価格も高すぎないため、戸建てのお家で多く使われている塗料です。 |
ラジカル制御型塗料 | 約3,500 ~4,000円 | 一番新しく登場したグレードで、外壁塗装の大きな劣化要因となる紫外線に強い性質を持っているため、長い寿命が期待できます。 |
フッ素系塗料 | 約3,500 ~4,500円 | フライパンなどに使われるフッ素加工からも想像できるように頑丈な塗料で、シリコン系塗料に続き人気が出てきている塗料です。 |
無機系塗料 | 約5,000 ~5,500円 | グレードは一番高く、塗装の寿命は最大で20年期待できるため、次の塗装時期を大きく伸ばせる可能性が高い優れた塗料です。 |
もし空き家を賃貸にする場合、お家を借りてもらえたとしても、メンテナンスをする義務があるのは貸主のあなたとなるので、上記のような、塗装の長い寿命が期待できる塗料で外壁塗装しておくのがオススメ。
塗装の寿命が短い塗料で頻繁に外壁塗装するよりも、塗装が長持ちする塗料で外壁塗装の回数を減らす方が、長期的に見た時のメンテナンス費用が抑えられるんです。
お家を借りる人から考えても、借りてからすぐに外壁塗装工事をされるより、入居してからしばらくは落ち着いて暮らしたいと思う人が多いはず。
適切な外壁塗装をして、あなたの持つ空き家を上手に有効活用してほしいです。
最後に…。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
空き家の対処法についてまとめてきましたが、分かりづらいところやもっと知りたい情報はありましたか?
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