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外壁塗装の契約書は塗装業者ごとに違う?依頼する側にとって不利な書式ではないか心配です…。

お客様からのお悩み 新築で自宅を購入してから10年近くが経ち、そろそろ外壁の塗装工事を行おうかと考えています。
初めての塗装工事の依頼ということもあり、いくつかの塗装業者さんに来てもらって、見積もりも取りました。
塗装工事の見積金額が少しずつ違うのは当然のことと理解できるのですが、実際に工事の契約をする際に使う契約書は、それぞれの塗装業者さんによって違うのでしょうか?
部屋を借りるときに使う賃貸借契約書はどの不動産会社でもほぼ同じ内容でしたし、塗装業者も同じなのかなと思っていましたが、実際はどうでしょうか?
そしてもし、塗装業者の業界団体によって契約書の書式の統一化がされていないのであれば、塗装業者さんによっては、工事を依頼する側に不利な、不平等な契約の内容になっていないかがか心配です。

外壁塗装の契約書は書式が統一されているのかどうか、塗装業者さんによってバラバラであれば、依頼者のあなたに不利な内容にならないのか、小栗総合法律事務所の小栗先生に聞いてみました。外壁塗装の契約書について悩みを抱えるあなたのお力になれれば嬉しいです。

ご質問への回答

はじめに

不慣れな契約書、それも初めてお願いする塗装工事となると、不安がたくさんあるかと思います。契約書の中身について、私と一緒に考えていきましょう。

契約とは?契約書とは?

契約は、平たくいえば当事者同士(あなたと塗装業者さん)がお互いに納得して結んだ約束であり、一部の特殊なケースを除き、口頭であっても当事者同士で意思が合致していれば有効に成立します。

しかしながら、現在何かの取引を行うときは、約束の内容を書面化して「契約書」にすることが一般的です。

なぜなら、口頭だけで約束を交わすと、あとになって「言った」「言わない」の問題が発生してしまうからです。 ※契約書という名前に限りませんが、ここでは便宜的に契約書と呼びます。
 合意書や約款+申込書なども同じ意味を持ちます。

また、一部例外はあるものの、原則として、契約は当事者の合意があれば基本的にどんな内容であっても有効です。

そのため、契約書に書かれている内容をよく吟味せずに署名・押印してしまうと、後になって「納得できない」とあなたが思ったとしても、書かれている内容どおりの契約があったと判断されます。

その意味で、署名・押印をする前に契約書の内容をよく確認して、納得できない内容や理解できない内容があったら署名・押印しないということが非常に大切になってきます。

外壁塗装の契約書の内容は?

結論から言えば、塗装工事に関して「この書式を使わなければいけない」という法律上の決まりや業界ルールは存在しません。そのため、塗装業者さんによって契約書の内容が異なるのも仕方のないことではあります。

しかし、一般的に外壁塗装などの建物工事全般については、次の理由から発注した人と塗装業者さんとの間で紛争が起きやすい取り引きです。

  • 作業期間が天候に左右される
  • 作業後に思わぬ問題が発見され予定していた金額よりも工事金額が高くなる
  • 工事が完成してからでないと塗装後の全容がわからない
  • 発注者(あなた)と塗装業者さんとの間で知識・情報格差が大きい

そのため、あなたと塗装業者さんとが対等な立場で公正に契約を結ぶため、また、起きてしまったトラブルの解決を目的として、「民間建設工事標準請負約款(乙)」といった書式や、「民間(旧四会)連合協定リフォーム工事請負契約約款」といった書式があります。

こうした書式に沿って契約書を作ってくれる塗装業者さんとの契約は、契約の内容自体も発注者のあなたに対して一方的に不利な内容になっているとは考えにくく、また、塗装業者さんの契約に対する意識も高いことから、依頼をする際の安心材料の一つということはできますね。

書式と異なる契約書の塗装業者さんと契約する時は?

「契約とは?契約書とは?」でもお話しさせて頂いたように、契約はあなたと塗装業者さんとの合意によって成り立つものですから、もし塗装業者さんに提示された契約書の内容に納得がいかず、民間建設工事標準請負約款(乙)などを使ってほしいという要望があるなら、まずは要望を伝えてみましょう。

塗装業者さんにあなたの要望を伝えても応じてくれない場合、対処方法はいろいろあるかと思いますが、塗装業者さんが提示してきた契約書をベースとして、各条項の内容を変更してもらえるか話し合うという方法が考えられます。

このとき、特に塗装工事を依頼する側のあなたにとって見ていただきたい内容は次の通りです。

1つ目 工期
2つ目 工事内容
3つ目 工事金額、支払時期
4つ目 工事が当初予定の工期に間に合わない場合、工期の延長についての取り決め
5つ目 引渡し前の工事のやり直しに関する取り決め
6つ目 引渡し後に、外壁や塗装に問題が発見された場合の塗装業者さんの責任
7つ目 契約成立後に解約をする場合の代金や違約金の扱い

あなたが普段何かの契約で契約書を読まない場合は、契約書の中から上記7つの事項を探すのも骨が折れるかもしれませんが、外壁塗装工事を始め、工事を依頼する時は事前に確認しておくべき事項ですので、上記7つの内容をしっかり探しましょう。

例えば4つ目の場合、工事をお願いしたあなたにとっては予定していた工期が過ぎてしまい、新しい工事完了時期を一方的に決められてしまうと、塗装工事のためにお家の車を自宅駐車場から一時的に月極駐車場へ移動していた場合など、駐車場の契約をいつまで延長すればいいか決められないといった問題が発生します。

そうならないためにも、たとえば「延長後の工期は協議のうえ定める。」という内容に変えてもらうなどの交渉が必要です。

ほかにも、例えば6つ目は、実際にお願いした色とは違う塗料を使っていたことが工事完了後に発覚したケースが考えられます。

この場合、塗り直しをしてもらえるのか、代金の減額をしてもらえるのかといった、対処方法について事前に契約書でしっかり定めておく必要があります。

契約交渉に行き詰まったら?

あなたが普段、契約書の扱いに慣れているならともかく、契約交渉を行うというのは非常に骨が折れるものです。

小栗先生の紹介ページはこちら 今回、外壁塗装の契約書についてご回答いただいた、小栗先生の詳細は下記ページで確認できます。 今ご覧いただいている記事以外にも、外壁塗装で起きるトラブルについて記事を監修いただいているので、そちらも下記ページからご確認いただければと思います。
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