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外壁塗装の後すぐに塗装が剥がれてきたのに、塗装業者は無償での塗り直しに応じてくれません…。

外壁塗装の後すぐに塗装が剥がれてきたのに、塗装業者は無償での塗り直しに応じてくれません...。

お客様からのお悩み 念願のマイホームを購入して、10年ほど経ち、外壁の劣化が目立ってきました。
そこで、外壁塗装工事を依頼しましたが、外壁塗装工事の完了後、まだ3カ月程度しか経っていないのに、塗装工事をしてもらった箇所にひび割れや塗装の剥がれが生じました。
私は、工事が完了してから間もない時期に生じたひび割れや剥がれであるので、依頼した塗装業者に無償でやり直しをしてもらいたいと思い、塗装業者に連絡をしてやり直しをするように依頼しました。
しかし、塗装業者は「前に行った塗装のせいであり、自分たちの塗装には問題がなかった」といって、無償での塗り直しに応じるつもりがないようです。
このような場合に、塗装工事のやり直しを指せることについて法的拘束力のある方法は何かあるでしょうか。

外壁塗装の工事後、すぐに塗装が剥がれてきた場合、無料で塗り直しをしてもらえるのか、小栗総合法律事務所の小栗先生に聞いてみました。外壁塗装の塗り直しについて悩みを抱える、あなたのお力になれれば嬉しいです。

はじめに

高いお金を払ってお家の塗装工事をしてもらったのに、すぐに剥がれてきてしまったらやり直しをしてもらいたくなりますよね。

このような時、塗装工事のやり直しをしてもらえるのか、してもらえる場合は費用を支払う必要があるのかどうか、考えていきましょう。

塗装工事は「完成」したといえるのか

一般的に工事は、請負契約と呼ばれる種類の契約に当てはまり、請負契約の中で請負人(今回のケースでいう塗装業者)は、注文者(今回のご相談者様)に対して、契約に基づき仕事を完成させる義務を負っています。

つまり、工事を仕事内容とする請負契約の場合、工事の完成こそが、請負人の義務なのです。

そして、「完成」とは何かが問題となりますが、古い裁判例では下記のように定義されています。

「工事が予定された最後の工程まで一応終了し、ただそれが不完全なため補修を加えなければ完全なものとはならないという場合には仕事は完成したが仕事の目的物に瑕疵があるときに該当するものと解すべきである。」(東京高裁S36.12.20)

この定義で考えると、外壁塗装工事の場合、「工事範囲として合意した範囲について、合意した方法により外壁塗装工事を完了したこと」と言えそうです。

外壁塗装工事の完成を以上のように定義した場合、ご相談者様のケースだと、おそらく塗装業者から「工事が終わりました」と言われ、ご相談者様も外壁を目視で簡単に確認し、「塗装が終わっているな。」と思ったので、工事の完了に合意したという経緯なのではないでしょうか。

こうした経緯であった場合、3カ月後に剥がれてしまうという問題のある外壁塗装工事であったとしても、一応工事は完了した、つまり仕事の完成はあったということになります。

工事が完了した場合、塗装工事業者には何も文句が言えないの?

仕事が完成したとはいっても、複雑な工事であればあるほど、一見して問題の箇所を見抜くことが難しいものです。

そこで、一度完成したように思えても、その目的物に隠れた瑕疵(かし)がある場合に、請負人に対して注文者は、原則として次の権利を主張することができます。

・瑕疵の修補(不完全な部分を補うこと)
・損害賠償請求
以上のいずれか一方又は両方 ※瑕疵…工事による傷や、契約上本来あるべきはずの状態になっていない事。

外壁塗装工事の場合に置き換えれば、一旦は問題ない塗装工事に思えて工事の完了に合意したものの、その後に問題点が発覚した場合、民法上も塗り直しや損害賠償請求を塗装工事業者にすることが認められているのです。

これを瑕疵担保責任と呼び、瑕疵担保責任を請負人に請求できる期間は民法上「引渡しから1年」とされています。

瑕疵担保責任の内容や請求できる期間は、契約によって変更することが可能なものではありますが、たとえば「民間(旧四会)連合協定リフォーム工事請負契約約款」などでは、次の通りに定められています。

第15条 瑕疵の担保
(1)契約の目的物に瑕疵があるときは、発注者は、受注者に対して、相当の期間を定めて、瑕疵の修補を求めること、又は修補に代えもしくは修補とともに損害の賠償を求めることができる。ただし、瑕疵が重要でなく、かつ、修補に可分の費用を要するときは、発注者は、修補を求めることができない。
(2)瑕疵担保期間は、本契約に別段の定めがある場合を除き、工事完了日(第12条記載の工事完了確認書の完了確認日から1年間とする。ただし、構造耐力上主要な部分の瑕疵(構造耐力に影響のないものを除く)については民法第638条第1項の定めによる。
(3)受注者は、発見された瑕疵が次の各号の一つに該当する場合は担保の責めを負わない。
A  発注者の指示、支給材料等発注者の責めに帰すべき事由による場合。ただし、受注者が発注者の指図、支給材料等の不適当なことを知りながらこれを告げなかったときはこの限りでない。
B 本件リフォーム工事範囲に属さない既存部分の劣化等に起因する場合。

民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款委員会 リフォーム工事請負契約約款

先程お話しした通り、瑕疵担保責任の内容や請求できる期間は、契約によって変更することができるので、ご相談者様が塗装業者に瑕疵担保責任を根拠として塗り直しや損害賠償請求ができるかどうかは、契約書を確認する必要があります。

しかし、上記の参照元となる「民間(旧四会)連合」とは、建設業界に関連する7つの公益法人・一般社団法人等から構成され、工事契約の公正公平化を掲げている団体であり、一定の影響力があります。

ある程度の規模の塗装業者であれば、民間(旧四会)連合の定める条項を少なからず意識するものと考えられます。

瑕疵担保責任を追及できないケース

請負人(塗装業者)の瑕疵担保責任とは、仕事の目的物(外壁)に存在する瑕疵(傷や施工不良)が仕事そのものの不完全さによって生じた場合に、双務有償契約である請負契約において、公平の理念から「瑕疵がある目的物の引渡しを受けた注文者を保護すること」を目的の一つとしています。※双務有償契約…塗装業者は契約通りの外壁塗装をしたお家を引渡し、ご相談者様は工事費用を支払うというように、お互いが経済的な負担を負う契約のこと。

裏を返せば、仕事の目的物に存在する瑕疵が、請負人(塗装業者)の仕事ではなく注文者(ご相談者様)の指示、注文者の提供する材料等によって生じる場合には、公平の観点から請負人(塗装業者)の瑕疵担保責任を負わせるべきではありません。

そのため、民法は一定の範囲で請負人が瑕疵担保責任を負わないケースを認めていますし、「民間(旧四会)連合協定 リフォーム工事請負契約約款」でも、請負人が責任を負わない場合について明記しています。

ご相談者様のケースの場合、「今回の塗装の剥がれは、前に行った塗装のせいであり、自分たちの塗装には問題がなかった」という塗装業者の主張はおそらく、自分たちの仕事に問題はない、だから瑕疵担保責任は問題にならない、という言い分なのでしょう。

この言い分自体は、上記でお話しさせて頂いたように塗装業者が責任を負わない理由となりえます。

対処法

もっとも、外壁塗装について専門知識のないご相談者様から見て、外壁塗装工事の問題点、つまり瑕疵が何に起因して生じたものなのかを判断することは、簡単ではありません。

塗装業者が今回のような言い分を終始つらぬき通し、一向に塗り直しの対応や損害賠償請求等に応じてくれないのであれば、別の塗装業者に塗装の剥がれの原因を調べてもらうことも一案です。

まだ外壁塗装の依頼をされていない方や、工事前の方につきましては、このようなトラブルとならないためにも、優良な塗装業者さんを選ぶことや、保証内容などしっかり確認したうえで契約をしましょう。

小栗先生の紹介ページはこちら 今回、外壁塗装の塗り直しについてご回答いただいた、小栗先生の詳細は下記ページで確認できます。 今ご覧いただいている記事以外にも、外壁塗装で起きるトラブルについて記事を監修いただいているので、そちらも下記ページからご確認いただければと思います。
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